++ふたご座の神話++
ギリシア神話でのカストルとポルックスは、スパルタ国の英雄です。イオニア海を臨むペロポネソス半島の都市国家スパルタの王妃レダはある日、白鳥の姿をした大神ゼウスに欺かれて交わり、2つの卵を生み落としました。
1つの卵からは兄カストルと姉クリュタイムネストラ。
もう1つの卵からは弟ポルックスと、妹ヘレネの4人の子供が生まれました。
このうちカストルとクリュタイムネストラはレダの夫スパルタ王テンダオレスの血を引く普通の人間でした。
しかし、ポルックスとヘレネはゼウスの血を引く不死の身体をもっていました。
カストルとポルックスの兄弟はとても仲が良く、カストルは乗馬と軍事、ポルックスは拳闘に優れた腕をもっていました。
特にポルックスは鍛冶の神ヘパイストスに頼んで鉄の手首をつけてもらい、鉄の手をつけたポルックスは1人で一軍にも匹敵する強さをもっていました。
2人はイアソンのアルゴ号探検隊の冒険などにも参加していました。
途中立ち寄ったベブリュクス人の国で、旅人に拳闘の試合を申し込んでは負かし、相手を殺すか奴隷としてしまうところがありました。
残虐な王アミュコスをも打ち負かしました。
2人はともにスパルタの名だたる勇士でありました。
あるとき叔父レウキッポスの娘をさらって妻にしたことから従兄弟であるイーダス、リュンケウスと争いになりました。
戦いの最中、カストルはイーダスの放った矢に当り死んでしまいました。
ポルックスも無数の矢傷を受けていました。
しかしゼウスの血を引くポルックスは不死の身体であったので死ぬことはありませんでした。
逆にリュンケウスを投げ槍で貫いて殺し、残るイーダスは逃げようとしたところをゼウスの放った雷に打たれ死んでしまいました。
こうして戦いには勝利したものの、ポルックスは兄の死を激しく嘆き悲しみました。
哀れに思ったゼウスは、ポルックスを天上に連れて行って神の一員にしようとしましたが、「兄と一緒でなくては嫌だ」と言ってそれに応じません。
ゼウスは仕方なくカストルにポルックスの不死性を半分分け与え、1日おきに天上界と人間界で暮らすことにしました。
そして、やがて2人は星となり、双子座になったといわれています。