++しし座の神話++
この獅子は英雄ヘラクレス (ヘルクレス座) が成した12の功業の1番目、エウリュステウス王の命令で退治したネメアの大獅子と言われています。ギリシア最大の英雄ヘラクレスは大神ゼウスと、ミュケーナイの王女アルクメネの間にできた子です。
ゼウスの浮気に加えてヘラクレスがひどく優秀な子だったので、ゼウスの妻である女神ヘ−ラ−にひどく憎まれていました。
ヘ−ラ−は陰謀を巡らし狂気の女神を遣わしてヘラクレスに狂気を取り憑かせました。
メガラとその間にできた3人の子供をヘラクレスの手で殺させてしまったのです。
正気に戻ったヘラクレスはその罪を償うため神託に次のことを行わなければなりませんでした。
それはティーリュンスの王エウリュステウスのもとで、10の難業を成し遂げるということです。
でも卑劣で臆病者のエウリュステウス王はヘラクレスを恐れていて、難業にかこつけてヘラクレスを殺してしまおうと考えていました。
そこでまず1つ目の難業は、ネメアの森に棲む大獅子を退治せよというものでした。
この獅子はネメアの谷に住みついて家畜や人を襲って食らう恐ろしい人食いライオンでした。
ヘルクレスは棍棒をふるってライオンを追いつめ、腕力で首を締め、その皮をはぎとり、頭にかぶってエウリュステウスのもとへ持ち帰ったのです。
獅子の皮をかぶったヘラクレスの姿を見たエウリュステウスは、本気でヘラクレスのことを恐れるようになりました。
それ以降ヘラクレスが町の中に入ることを許さず、ヘラクレスが戻って来ると聞くたびに地面に埋めた大きな青銅の瓶の中に隠れたそうです。
のちにヘラクレスがケンタウロスのネッソスの呪いによる、火中に身を投げて死んだ時に、この獅子も、ともに天に昇って獅子座となったのだと言われています。
そしてこの獅子の皮は、常にヘラクレスが肩にかけていたため、ヘラクレスのシンボルともなっています。